鼠色 (ねずみいろ)
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 鼠色 (ねずみいろ)
 R G B     ( 130  128  131 )
 C M Y K   ( 45  39  36  16 )
3月桜が咲く頃、よく花曇りと言われる天候の日がある。どんよりと水墨画の世界のように目に映る物全ての色が輝きを失ってしまうねずみ色の景色がそこにある。

現在、JIS規格で白と黒の中間明度の無彩色を灰色と定義づけているが、伝統的な呼び方では灰色は文字通り,藁や木屑を燃やしたあとに残る灰のようないろを「灰」と呼んだのである。一見無彩色のようでありながら、そこには微妙な色合いがあり無彩色ではなかった。赤みがかったり、青みがかったり黄色みがかったり、実に複雑な色調を生み出していたのである。

江戸時代には「灰色」というよりは、「鼠色」と呼ばれたのは、長屋住まいの庶民には鼠と同居しているような状態で暮らしていたため、鼠の色が身近な灰色であった。

この「鼠色」という色名は室町時代から江戸時代に登場したと考えられている。当時は茶色と鼠色は粋な色として特に好まれ、俗に「四十八茶百鼠」と言われる位、鼠ががった色がたくさん現れた。その背景には 高価な紅花染めの紅梅色や紫根染めの本紫は江戸初期より庶民には禁じられている色であり、幕府の禁令では茶、鼠などの染色は「おかまいなし」であった。このように染色の制限が設けられている中でも「粋で洒落」を好む江戸人の色彩感覚にこれらの色が適合していった。

鼠系の色に関しては、特に江戸中期から後期にかけて「〜鼠」と称する微妙で豊かな色調が生まれてきた。(利休鼠、桜鼠、梅鼠,深川鼠、鳩羽鼠、藍鼠、錆鼠、相思鼠、銀鼠)

多様な鼠色が登場、流行した背景のひとつには染料を手に入れやすいこともあった。染料はくぬぎ、なら、栗、樫など様々だが、いずれも煎じて使い、鉄媒染めをして染めていた。




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